フェムト秒ポンプ・プローブ過渡吸収測定装置 HELIOS
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HELIOSは、自動化度を飛躍的に高めたフェムト秒・ピコ秒過渡吸収分光測定システムです。再生増幅されたTi:サファイアレーザーあるいは高出力Ybレーザーのいずれかと組み合 わせ、光励起された液体あるいは固体試料の可視~近赤外域におけるフェムト秒~ナノ秒の過渡吸収スペクトルを、時間遅延をスキャンすることで自動計測します。特許取得済みの完 全自動アラインメント機能Smart Delay Line™を有する遅延ステージとともに、HELIOSは比類のないパフォーマンスと使いやすさを提供します。
光物性、光化学、光生物 (視物質・光合成), |
材料化学 (太陽電池・フォトクロミック材料) |
起状態、項間交差、振動緩和、内部転換、電子移動などの分子内過程 |
ナノ粒子の光物性、太陽エネルギー変換 (太陽電池材料)、光合成の研究 |
光線力学的治療法の光ダイナミクス |
DNAと光の相互作用の研究 |
巨大分子やナノ構造における電荷移動、エネルギー移動 |
有機ELディスプレイの開発 |
機能と仕様
測定波長レンジ | ||
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再生増幅されたTi:Sapphieレーザーと組み合わせた場合 例)Spectra Physics 社製Solstice Ace |
高出力Ybレーザーと組み合わせた場合 例)Light Conversion 社製PHAROS |
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可視域VIS | 420 ‒ 820 nm | 480 ‒ 950 nm |
近赤外域NIR | 800 ‒ 1600 nm | 800 ‒ 1600 nm * |
UVオプション | 320 - 650 nm | 350 ‒ 520 nm |
* Ybレーザーとの組み合わせにおける1030 nm付近の測定は、手動で光学フィルターを最適化する必要があります。
励起波長レンジ | |
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ミラーセットポンプ光用(下部の光学系概略図参照)の対応範囲 | 210 - 2600 nm |
波長・時間分解能と時間レンジ | |
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波長分解能 | UV/VIS 5 nm、NIR 15 nm (推奨スリット幅の200 μm時) |
時間分解能 | レーザーパルス幅 × √2( レーザーのパルス幅の約1.4倍) 例)レーザーパルス幅が 130 fs のとき、時間分解能は約182 fs |
最大時間レンジ | 8 ns (ex. -0.2 ns ~ 7.8 ns、-1 ns ~ 7 ns) |
光学系概略図 |
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(下図は一例です。遅延ステージ (DELAY LINE) の筐体は分離が可能で、これ以外にもさまざまなレイアウトが可能です.)

ミラーセットポンプ光用およびミラーセットプローブ光用の外部光学系により、ポンプ光パルスに対してプローブ光パルスが‒A [ns] ~ 8‒A [ns] , A= 0.1~1 ns = 100~1000 psの時間差で試料に到達するように設置いたします(負符号のとき、プローブ光が先に到着)
試料部 | |
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適合試料 | (透過モード配置) 溶液、透過性薄膜 (反射モード配置) 反射性薄膜、固体、粉末 ※オプション(下記参照) |
試料ホルダ | 溶液撹拌用マグネチックスターラー付属 光路長1または2mmの溶液試料用キュベットや板状試料を含む、 厚さ5 mm 以下の任意の厚み試料を装着可能 |
ポンプ光処理 | パワー調整用可変減光フィルター オプティカルチョッパー(レーザーに同期) プローブ光と試料上の同一スポットに照射するミラーセット |
ポンプ光用シャッターオプション | 測定中に自動開閉し、試料ダメージを防止 ソフトウェアによる自動制御 |
サンプル室サイズ | 底面積(内寸) 350 mm x 300 mm、高さ(内寸)200 mm |
光軸方向位置調整 | 手動マイクロメーターによる一軸ステージ 移動量±12 mm、マイクロメーター最小読取分解能10 μm |
自動2軸試料ステージオプション | 光劣化の早い試料などに適用可能 上記手動一軸ステージ上に設置 光軸に垂直な面内において試料の選択した範囲を2次元スキャン可能 (ソフトウェアによる自動制御.ラスタースキャンまたはランダムスキャン) 最大移動速度2 mm/s、最小ステップ10 μm |
反射配置オプション | 軸外し放物面鏡により試料に集光、透過配置とは手動切替 |
その他 | 着脱可能な天板を取り外すことにより、クライオスタットなどを利用可能 サイドパネルも着脱可能 |

白色光(ブロードバンドフェムト秒パルス光)発生部 | |
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発生方式 | 800 nm( Ti:Sapphire レーザー利用時)または 1030 nm( Yb レーザー利用時)の レーザー光の出力の一部を白色光発生結晶へ集光させて発生 |
結晶 | 各波長レンジに対して各1種類(ソフトウェアによる自動選択) ※波長レンジの表を参照 |
導入位置 | プローブ光導入光学系内 |
安定化機構 | 開口絞り、可変減光フィルター、焦点位置の最適化 |
基本波除去フィルタ― | 結晶後方(レーザー光の結晶通過後)に設置 |
遅延ステージ Smart Delay Line™ | |
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光線往復回数 | 4回 |
導入位置 | プローブ光導入光学系内 |
最大時間遅延 | (= 最大時間レンジ) 8 ns |
最小遅延掃引ステップ | 2.8 fs |
実質分解能 | 14 fs |
最大掃引スピード | 10 ns/s 以上 |
最大加速度 | 260 ns/s2 以上 |
自動アラインメント所要時間 | 3 ~ 5分 |
ビーム指向性ドリフト | 試料位置にて10 μm以下(最大時間遅延の8 nsに対して) |

分光器 & 高速マルチチャンネル検出器 | ||
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UVおよび VIS | NIR | |
入力方式 | SMA接続光ファイバー、スリット幅200μm標準 | |
分光素子 | 収差補正高効率ホログラフィック凹面グレーティング (ミラー・レンズ不使用) |
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センサー | CMOSリニアアレイ | InGaAsリニアダイオードアレイ |
有効素子数 | 1024ピクセル | 256ピクセル |
最大スキャン速度 | 4700 scan/s | 7800 scan/s |
センサー感応波長 | 200 ‒ 1000 nm | 800 ‒ 1700 nm |
グレーティング対応波長 | 300 ‒ 900 nm | 800 ‒ 1700 nm |
スペクトル分解能 | 4 nm (スリット幅200 μmの時) | 13 nm (スリット幅200 μmの時) |
ダイナミックレンジ | > 1000 (10 ms積算時) | > 1000 (10 ms積算時) |
A/D変換分解能 | 16 bit | 16 bit |
検出器ゲート | 外部トリガーに同期 |

制御用PC
制御・データ表 示専用のPCが付属します。OSはMicrosoft社製Windows 11です。
プローブリファレンスオプション
Helios-VIS-NIRには、リファレンスチャネルのオプションがあります。この場合、プローブ光はサンプルを通過する前に2つに分割されます。一方はサンプルを透過し、もう一方のプローブ光はビーム強度の変動を監視するリファレンス分光器&検出器に導かれます。両者の比を取ることにより光源の出力ゆらぎによるノイズを低減させることが可能です。このアプローチの主な利点は、ユーザーがより少ない平均レーザーパルス数で、より高い信号対雑音比を達成できることです。したがって、レーザーショットの数が非常に制限されている、繰り返し率が低い、または光分解しやすいサンプルでの実験で効果を発揮します。

その他のオプション
ソフトウェア
以下の制御・データ表示を行います.◇ 遅延ステージの完全自動アラインメント
◇ 測定波長域 (UV/VIS/NIR)モードの切り替え
◇ 測定波長域 (UV/VIS/NIR) に対する、白色光発生結晶、検出器の自動切り替え
◇ 各遅延時間における、ΔA(吸光度変化)またはΔT(透過変化)またはΔR(反射光強度変化)による過渡吸収スペクトルの計算
◇ 遅延時間制御 + 過渡吸収スペクトル測定による波長-時間-過渡吸収信号の3Dデータ生成
◇ 同データの2Dカラープロット、ASCII形式テキスト形式保存
◇ ポンプ・プローブ間の時間遅延掃引パラメータ(開始、終了、ステップ)
◇ 掃引積算回数
◇ 掃引精算回数が2回以上のときは、積算データに加え、個々のデータが自動保存されます.
(レーザーの変動、停電で実験が中止されても、データのすべては失われません.)
◇ 遅延ステージが移動中でもデータを連続的に取得
◇ New高速スキャンモードによる、遅延範囲 8 ns、時間(遅延点数 300 点)-波長-吸光度変化3-Dデータ の50 秒以内での取得
◇ 自動2軸ステージ(オプション)の移動パターン・移動範囲・速度
◇ 検出器露光時間
豊富な解析機能を有します.
◇ チャープ補正、多成分の寿命解析、グローバル解析

詳しい情報はこちらよりお願いいたします。
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